兼業・副業への対応を理解しよう(`・ω・´)b
2021/07/02
皆さん、いつもお世話になっています!!
昨今では、副業が当たりまえな時代になっています。
従業員からしたら、もっと稼ぎたいから働くとか、コロナ禍で本業だけでは食べていけない等で副業に走る方も大勢いるようです。。。
しかし、企業側はしっかりと副業について、労働基準法、労災保険法を理解して臨まねばなりません。
さて、令和2年9月1日より労災保険法が改正され、副業している従業員の労災について、「複数業務要因災害」という類型が設けられたことを知っていますか?
この改正ポイントについて、以下の例を確認しておいてください<(_ _)>
【例】
A社とB社に雇用されているXさんが、本年11月に適応障害を発症し、労災申請。
@A社:正社員、月給25万円 @B社:アルバイト、月給10万円
Point1 対象範囲の拡大
【これまで】A社の負荷(労働時間、その他のストレス要因)だけ/B社の負荷だけを個別に評価し、労災認定できるかを判断していました。
↓
【改正後】新たに「複数業務要因災害」という類型を設け、A社の負荷だけ/B社の負荷だけを個別に評価するのでは、発症との間の因果関係が認められない場合でも、2社の業務上の負荷を総合的に評価して、同因果関係が認められる場合には、労災認定されることとなりました。
⇒労災認定される範囲が広がります。
Point2 保険給付額の増加(@休業補償給付等)
【これまで】災害が発生した勤務先の賃金額のみを基礎に算定されていました。
そのため、例えば、B社におけるパワハラが原因で発症した場合、月10万円を基礎に算定するため、保険給付額が極めて低廉になるという問題がありました。
↓
【改正後】(一社の負荷が原因の場合でも)すべての勤務先の賃金額を合算した額を基礎に算定されることになりました。
そのため、同様にB社におけるパワハラが発生した場合でも、A社の賃金額をも合算した月35万円を基礎に算定されます。
なお、新設された複数業務要因災害や、通勤災害の場合も同様です。
⇒保険給付額が増加します。
従業員にとってはかなり守られた充実した適用拡大となるのです!
それもそのはず、精神疾患や脳心臓疾患により労災死亡の認定について、発症前1か月に100時間超、発症前2か月ないし6か月で80時間超の時間外労働が目安となります。
36協定出してるから大丈夫と安心している事業主さんは要注意です!副業してたらすぐに100時間超の残業時間なんて超えてしまいます・・・・
注意しましょう!
また、副業、兼業の割増賃金の支払いについてはどうなるでしょう??
パターンは2つあり、例と共に確認しておいてください<(_ _)>
パターン1:2社の所定労働時間を通算すると、法定労働時間を超えてしまう場合
→後から働き始めた(後から労働契約を締結した)会社が割増賃金を支払う義務があります
たとえば、もともとA社で1日8時間、月~金の週5日勤務の人が、新聞配達の早朝アルバイトを始めたとします。
アルバイトは、1日2時間(AM5:00~7:00)、月・水・土の週3日勤務だとします。
すると、月・水については、A社とアルバイト先の所定労働時間を足すと10時間になるので、2時間の残業が発生します。
この残業代は、後から働き始めた(後から労働契約を締結した)アルバイト先が支払うことになります。
パターン2:2社の所定労働時間を足しても、法定労働時間を超えない場合
→実際に法定労働時間を超える労働をさせた会社が残業代を支払います
たとえば、A社で1日4時間、B社でも1日4時間の所定労働時間で働いていたとします。
業務の都合でA社で5時間働き、その後にB社で4時間働いた場合、1日9時間の労働となるので、1時間の残業が発生します。
この残業代を支払うのは、A社となります。
A社で5時間働いた時点では法定労働時間を超えていませんが、B社で4時間働くのを分かっていながら1時間余分に働かせたので、A社が残業代を支払うことになります。
結論、副業は企業側としてはあまりお勧めできないかもしれません。。。。
副業を許可制にしている企業様も多いと思いますが、対策をされていない企業の皆さんは、今一度、就業規則の見直しをご検討されてはいかがでしょうか?