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戸川先生の労務コラム【3】男に対しても,マタニティ・ハラスメント???

2022/10/24

戸川先生の労務コラム第3弾!!!

 

<社長>

センセ!ウチの会社の子から妊娠したって報告受けたんやけど、なんや言動とかに気を付けた方がええことある?なんや「マタハラ」とかってあるやん?

あ!もちろん、「おお!誰の子や?ワシの子か?」なんてことは言ってへんで!

 

<センセ>

社長!いらん事言わへんのもですが、気を付けなあかん言動を聞いてくるあたり、いい感じですね!ハラスメントについての意識が高まってますね!

 

<社長>

やろ?センセに前に「好かれる社長」になれって言われたから気を付けてんねんで!

 

<センセ>

おお、それはうれしい!じゃあ、今日はすでに死語になった「マタハラ」について勉強しましょう!

 

<社長>

え?マタハラって死語なん?

 

【センセの簡単レッスン】

1:マタハラが死語?

「マタハラ」とは、「マタニティハラスメント」の略語です。つまり、マタニティ(=母または妊婦)に対するハラスメントということになってしまいます。

しかし、皆さんが考える「マタハラ」は、男性に対しても行われ得るものです。そこで、厚生労働省では「マタハラ」という表現をやめ、「妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント」を法律上禁止することにしました。

2:具体的にどういう言動を指すの?

「妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント」とは、

① 出産または妊娠それ自体

② 出産または妊娠に関する制度等を利用すること

③ 育児に関する制度等を利用すること

④介護に関する制度等を利用すること

について、

ア:不利益な取扱いをすることの示唆

イ:業務上の必要性に基づかない制度の利用等の阻害

ウ:繰り返し嫌がらせ(妊娠している状態への攻撃)

のいずれかに該当する行為を行うことをさします。

 

3:何をしたらハラスメントに該当するのか?

より具体的に,過去に実際にあった事例で違法性が認められた言動を紹介します。

ア:不利益な取扱いをすることの示唆

A:出産した女性に対して「今後は育児をしながらの働き方になるし,パフォーマンスも落ちてしまうわけだから,降格させるね。」と言った。

B:妊娠を報告した女性に対して「ご主人が働いているなら,もう主婦として生きていく方がいいんじゃない?会社もパフォーマンス落ちた人材より,仕事に専念できる人材を雇う方がいいってわかるでしょ?」と言った。

イ:業務上の必要性に基づかない制度の利用等の阻害

A:育休を取得しようとした男性に対して「男が育休?別に制度上のことだからいいけど,評価には響くから,そのことは分かっておいてね。」と言った。

B:産前休を取得しようとした女性に対して「産前休は必ず6週間休まないといけないことはない,ってこと分かってる?本当に6週間も休む必要あるの?権利があるからって,当然に使っていいわけではないことも分からない?」と言った。

C:女性従業員全員に対して「同時に産休や育休に入られたら残された者がどうなるかを考えて,女性同士で産む順番を決めて,会社やみんなのことを考えて計画的に育児してね!」と言った。

ウ:繰り返し嫌がらせ(妊娠している状態への攻撃)

A:つわりが酷くたびたび年次有給休暇等を使って休みをとっている女性に対して「『おつわりさん』,無理しないでね。」と言った。

B:不妊治療をしている部下に対して「妊娠の能力と仕事の能力は関係があるんだな。会社としては,妊娠の能力をあげるより仕事の能力あげて欲しいんだけどな。」と言った。

上記の例は,どれもこれも,極めて不快な言い回しが多いです。したがって,あえて「気をつけましょう」とは言いません。

注意しなければならないのは,次のような言い回しです。悪気があって言ったわけではないものの,結果的にハラスメントに該当してしまうケースもあります。

ア:不利益な取扱いをすることの示唆

配偶者の妊娠を報告した男性従業員に対して「やっとこれで一人前の社会人だな!出来る男は育児を理由に業績を落とさないし,ウチの会社はそういう人材を求めてる。育児を優先してキャリアアップを捨てるなんてことはするなよ!応援してるぞ!」

→ この事例は,一見すると応援しているようにも見えますが,これを言われた側からすれば,育児よりも仕事を優先するように言われているように感じるでしょう。また,育児を優先したらキャリアアップできないと示唆されているようにも感じるかもしれません。

イ:業務上の必要性に基づかない制度の利用等の阻害

育児休業を取得しようとした従業員に対して「育児休業をとることはいいことだ,しっかり奥さんを支えてあげなさい。ただ,育児休業をあまりに長くとると,どうしても昇進に響いてしまうこともあるし,育休に理解の無い上層部もあることを忘れるなよ!」と言った。

→ この事案は,一見すると育児休業を長くとりすぎると昇進に響くから気をつけろと助言をしているようにも思えます。しかし,そもそも育児休業の取得期間と人事評価は関連させることは不利益な取り扱いであるにもかかわらず,その不利益な取り扱いを肯定しています。聞き手からすれば,やはり暗に育児休業を取得しない又は育児休業を短くする,ということを強いられているように感じてしまうかもしれません。

 

4:じゃあどうすればいい?

①妊娠の報告があった際,業務量または労働時間数を減らす提案をする場合

「妊娠をしていると心身ともに負担が大きいから,あなたさえ良ければ残業もなく業務量の負担も小さい部署に異動をするか,この部署に残ったとしても労働時間を少なくなるように業務分担を見直そうと思うけれどどう?労働時間を短縮したら,給料なんかは下がってしまうから,一度ご家族ともしっかり話をしてまた返事をくれないかな?もちろん,あなたが異動も時間短縮もなくこの部署で働き続けることを希望するとしても,負担は小さくなるように配慮をするから安心して。」

→ 内容的には部署異動や契約内容の変更を示唆しているものの,この言い回しであれば違法性は無いものと評価されます。理由としては,

ア 提案をしつつも,労働者の自由な意思により決められること

イ 労働条件を変更したら賃金が下がることを明示していること

ウ 家族と話合いをする時間を設ける等時間的猶予を設けていること

エ 仮に異動等をしなかったとしても負担を軽減する措置を講じること

が挙げられます。

 

②育児休業を取得しようとする従業員に対して出勤をお願いしたい場合

「育児休業を取得するのはもちろん大丈夫だ。育児優先で期間を決めてもらってもいい。会社としてもしっかりサポートするから,育児に専念してくれ。ただ,どうしても力を貸して欲しいときは月に数日だけ出勤してくれないかと相談をさせてもらうかもしれない。もちろんそうならないように善処はするが,相談をさせてもらった際に余裕があれば出勤してくれるとありがたい。」

→ 育休中に出勤をさせるのはなるべくなら避けたいですが,会社としてどうしても出てきてもらいたいときもあります。そういったときには,上記のような言い回しだと違法となる可能性は低いです。理由としては,

ア 育児に専念するよう言い,取得期間について,暗にも制限を設けていない。

イ 出勤して欲しい場合に,「相談をさせてもらうかもしれない」と,出てこいと直接的には言っていない。

ウ 相談した場合も,「余裕があれば出勤してくれるとありがたい」という言い回しをし,出勤を義務付けるものではないこと。

 

5:まとめ

上記のように,「マタハラ」という言葉は死語となり,「妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント」という言葉が使われるようになりました。ただ,長くて言いにくいという欠点があるので「マタハラ『等』」という言い方をする場合もあります。この「等」という字をつけるかつけないかで,時代の流れをキャッチ出来ているかどうかの基準ということですね。

それはさておき,ハラスメントをしないためには,「相手の立場に立つ」ということが最も重要です。相手の立場に立ち,相手を慮る気持ちを持つことが,ハラスメント撲滅のための第一歩ですよ!

覚
悟の瞬間 ひかり物流株式会社 戸川一秋

クオーレの泉

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