解雇する際の注意点
2021/07/13
解雇予告を皆さんご存知でしょうか??
会社が従業員を解雇する場合、原則として解雇日の30日前までに解雇を予告することが必要なんです!(労働基準法第20条)
企業が従業員を解雇する場面では、後日、解雇した従業員から訴訟を起こされる危険もあり、企業としてリスクの高い場面の1つです。
解雇が不当解雇と判断されると1000万円を超えるような支払いを裁判所で命じられることもありますので、重要な注意点をおさえて慎重に進めることが必要です。
全ての場合に解雇予告が必要なわけではございません。
以下の場合などは即日解雇可能です!
- 解雇予告手当として30日分の賃金を支払って解雇する場合(労働基準第20条1項)
- 日雇いの従業員で雇用開始後1か月以内に解雇する場合(労働基準法第21条)
- 試用期間中の従業員で雇用開始後14日以内に解雇する場合(労働基準法第21条)
- 解雇予告除外認定制度による除外認定を受けた場合(労働基準法第20条1項但し書き)
また、解雇予告する際に重要な手順もご紹介します!
- 1:解雇の方針を社内で共有する。
- 2:解雇の理由をまとめたメモを作成する。
- 3:解雇予告通知書を作成する。
- 4:解雇する従業員を別室に呼び出す。
- 5:従業員に解雇を伝える。
1:解雇の方針を社内で共有する。
まず、解雇することを決めたら、従業員が「不当解雇である」などと主張してきた場合に会社が一丸となって対応していくためにも、その方針を社内で共有する必要があります。
会社の幹部や本人の直属の上司にも、その従業員を解雇することを伝え、事前に理解を求めておきましょう。
2:解雇の理由をまとめたメモを作成する。
次に、解雇の理由をまとめたメモを作成します。
これは、従業員に解雇の話をするときにできるだけ説得的で明確な説明をするための準備です。解雇の話をする場面で、従業員からどのような反応が返ってきても、冷静に自信を持って解雇の理由を説明する必要があります。そのためには、事前に解雇の理由を整理したメモを準備しておくことが必要になるのです。
メモは、これまで従業員を直接指導してきた上司にもヒアリングしながら、できる限り詳細で具体的なものを作りましょう。
3:解雇予告通知書を作成する。
次に、「解雇予告通知書」を作成することが必要です。
解雇予告は法律上は口頭で行うことも可能ですが、口頭で行うとあとで解雇予告の手続きが正しく行われたかどうかをめぐって争いになることがあります。
必ず書面を作成して従業員に交付しましょう。
4:解雇する従業員を別室に呼び出す。
解雇の予告は、会社の会議室など、普段の職場から離れた別室で行いましょう。
「話があるので来てください。」といって別室に解雇対象者を呼びます。
5:従業員に解雇を伝える。
「これまで、私からもあなたの上司の○○さんからも、あなたの仕事ぶりに会社が満足していないことを伝えて、改善するように伝えてきました。」と話を切り出します。
「去年の●月頃後には~という話をしましたし、今年の〇月ごろには~という話もしましたね。あなたの上司の○○さんも時間をとってあなたと面談をし、あなたに改善をお願いしてきました。しかし、結果として、十分に改善されていないと感じています。」などと、会社としても努力してきたが問題点が改善されなかったことを伝えます。「そこで、残念ですが、社内で話し合った結果、会社としては、あなたを●月●日付けで解雇することにしました。」と解雇を伝えます。なお、指導書などはこまめに取得するようにして記録を残しましょう。
そして、従業員からは、解雇の理由についての反論や、あるいはさらに詳細な解雇の理由を説明する質問などがされることが想定されます。全て記録を残しておいてください。
最後に解雇の日までの業務内容について伝えます。
特に、解雇した従業員の業務を後任者に引き継ぐ必要がある場合は、誰にどのように引き継ぐのかを具体的に伝えて指示しましょう。ただし、未消化の有給休暇が残っている場合に、従業員が有給休暇の消化を希望する場合は、法律上、有給休暇の消化を認める必要があります。
不当解雇の裁判リスクがある場面では、ここまで話した段階で裁判にかかる費用や労力を避け、またトラブルが長期化することを避けるために再度自主退職を促すことも検討に値します。
例えば、解雇後の生活資金としていくらか支払うことなどを提案して、自主退職を促すことも一つの方法です。
自主退職に応じなければ解雇予告通知書を渡します。
そして、解雇予告通知書のコピーに受領のサインをもらいます。従業員が解雇に反発して、解雇通知書を受領しない場合や受領のサインをしない場合は、解雇予告通知書を従業員の自宅に内容証明郵便で郵送しましょう。
また、従業員が自主退職に応じるときは、必ず「退職届」を提出してもらいましょう。
最後に、「30日前に解雇予告をしたからといって不当解雇にならないわけではない」という点も理解しておいて下さい<(_ _)>
条件1:
解雇が正当化される客観的な理由があること(解雇理由)
条件2:
解雇のための手続きが正しく行われていること(解雇手続き)
条件1の解雇理由については、正当な解雇理由となるためには、解雇理由ごとに条件があり、それを満たしておく必要があります。
例えば、能力不足が理由で新卒者あるいは未経験者の従業員を解雇する場合は、「必要な指導や、適性を見るための配置転換を行った後も、勤務成績が不良であること」が正当な解雇理由となるための条件です。
次に条件2の「解雇の手続き」については、就業規則の確認が必要です。
特に、懲戒解雇の場合は、就業規則で、「解雇の前に従業員の弁明を聴くこと」や、「懲戒委員会を開くこと」を定めている会社も多くなっています。
まず、我々にご相談してください!
行動してからご相談されるケースが多いので、皆さん検討段階からご相談してくださいね💦
裁判判例紹介
東京地方裁判所平成27年1月28日判決:試用期間中の従業員の解雇について会社に「約750万円」の支払命令
大阪地方裁判所平成8年7月31日判決:寝過ごしによる延着事故を理由とするトラックドライバーの解雇について会社に「約1180万円」の支払いを命令
平成23年1月26日東京高等裁判所判決:無断欠勤を理由とする懲戒解雇について会社に「約1600万円」の支払い命令
このように、不当解雇が認められると、企業は大打撃を受けます。。。。最悪、倒産してしまいます。。。。
めんどくさくても、入念な準備と客観証拠を集めましょう(`・ω・´)b