能力不足で解雇できるのか??
2021/07/12
皆さんからよく問い合わせいただく質問についてご紹介します。
質問:能力不足の社員を解雇したい!できる???
結論:裁判になった場合、多くの場合、解雇不当と判断され、バックペイ(解雇から復職までの期間の給与)を支払うことになります。
就業規則に解雇事由を載せていることは大前提ですが、社長にはなかなか厳しい現実です・・・・
企業側敗訴の裁判例は以下の通りです!
・大阪地方裁判所平成7年4月28日判決
→自動車教習所運営会社による事務員解雇を不当解雇とし、332万円の支払い命令
・大阪地方裁判所平成8年7月31日判決
→運送会社びよるドライバー解雇を不当解雇とし、1180万円の支払いを命令
・大阪地方裁判所平成14年3月22日判決
→医療品製造会社による販売職従業員の解雇を不当とし、600万円の支払いを命令
では、どうすれば、リスクを軽減して解雇できるのか??
5つの注意点をご紹介します!
1:能力不足のミス等を本人のミスであることを客観的に示せるか?
→大阪地方裁判所平成7年4月28日判決で、会社がレジの現金食い違いが半年で53回発生していたとレジ担当を解雇したが、
レジ担当者は複数いて、解雇した従業員が原因のミスはわずか6回だけであったと立証されたケースがありました。
2:教育訓練が原因でないかといわれるリスクはないか?
→新卒社員などは特に徹底した指導が必要であると判断されやすい(企業敗訴例多数!)
3:待遇改善や労働組合への加入が解雇理由であったのではないかと疑われないようできるか?
→残業代請求、労基への相談、労働組合の加入などが解雇の真の理由と判断されたら確実に敗訴します
※大阪地方裁判所平成8年7月31日判決で、運送会社の寝過ごしによる延着事故を起こしたドライバーを解雇したが、
実際は組合加入による賃上げ請求をしていた社員であったため、解雇したのが本当の理由であったことが判明したケースがありました。
4:解雇が性急すぎると判断されないか?
→大阪地方裁判所昭和60年12月25日判決(学校のプール指導員の不手際を解雇理由としたが、入社後1ヶ月で解雇してしまった例)
5:配置転換等を試みなかったのではないか?
→東京地方裁判所平成28年3月28日判決で日本IBMが営業やシステム運用の担当をしていた従業員5名を能力不足として解雇したが、
この従業員を適性のある業種に配転したり、解雇の可能性を伝えて業務改善の機会を与えずに解雇したと判断されたケースがありました。
毎度言うてますが、結論は客観的な証拠がかなり必要になるということです!
解雇前や様々な処分をする場合は事前にご相談ください<(_ _)>
何度も言いますが、指導等々は指導書や何度も指導した結果をなどで入念に準備が必要です!
また、カメラ設置なども検討し、証拠集めをきちんとしておきましょう!
ほんま、社長にとっては生きにくい日本の雇用事情です・・・・
理不尽な社会に負けずに社長さん達、頑張りましょう!!!